新聞広告で旅をする人がいます。
新聞には、たまに旅行の広告が掲載されています。ハワイやオーストラリア、フランス、シンガポール、韓国、台湾など、海外旅行はもちろん、国内旅行も多彩なコースで紹介されています。
私の知人には、この広告が大好きな人がいます。その知人は、広告を見て旅をするそうです。例えば、知っている場所が広告に掲載されている場合、彼はその場所を思い出しながら数分間の旅を楽しむといいます。この話を聞いて、私は素晴らしいと思いました。新聞広告が、そんなふうに読者に旅する機会を提供しているとは考えもしませんでした。とても素敵な発想だと思います。
知らない場所の広告も、彼は自分なりに調べて、楽しい旅を想像しているそうです。読者は広告を通じて、それぞれの見方や感じ方を持つのだと改めて感じました。回想や想像をしながら、さまざまな場所へ旅する読者の姿を思い浮かべると、とても良い光景だと思います。
私にとって、毎日手紙のように届けられる新聞にこんな素晴らしいことが起こっているとは、と改めて感じました。新聞広告は通常、一方的に情報を伝えるものです。広告を発信する側は、商品を売るためや認知してもらうために広告を掲載していると思いますが、同時に読者へ空想の旅を提供するファンタジーな時間も作り出しているのだと考えます。そして、その空想が現実となる商品として提供されているのです。広告主も意図していなかった新しい価値が新聞広告から生まれることもあるのだと思います。いや、もしかすると広告主もそんな効果を狙って広告を作成しているのかもしれません。明日はどんな広告に出会えるか楽しみです。そして制作者としてどんな広告を制作できるか考えて行きたいと思います。
株式会社プレイヤーズ 石田哲也